下痢とは
下痢は、便に含まれる水分の割合が90%以上か、200ml以上の水分量が含まれる便が1日3回以上出る状態と定義されています。下痢には急性下痢と慢性下痢の2種類があり、急性下痢とは突然の激しい腹痛を伴う下痢のことを指し、一方慢性下痢とは3週間以上続いている下痢を指します。
下痢は日常的に良く見られる症状の一つのために軽視されがちですが、中には重篤な病気によって引き起こされていることもあります。そのため、気になる下痢が頻発している場合には、自己判断せずに一度当クリニックまでご相談ください。
下痢の症状
以下は、緊急性を伴う主な下痢の症状となります。
- 過去に経験したことがないような激しい下痢に見舞われた
- 排便後も腹痛が長時間続いている
- 時間とともに徐々に症状が悪化している
- 下痢とともに発熱や吐き気、嘔吐を併発している
- 下痢により口が渇いたり尿の量が減少している
- 便に血が混じっている
- 同じものを食べた人全員が下痢になった
など
数日間下痢が治まらない場合
に疑われる原因
数日間下痢が続いている場合には、以下のような原因が考えられます。3日以上経っても症状が改善しない場合には、できるだけ早めに当クリニックまでご相談ください。
感染性胃腸炎
感染性胃腸炎とは、細菌やウイルスが腸内に感染して腸の働きを低下させる感染症です。病原体によって腸の水分吸収が阻害されることから、下痢などの症状を引き起こします。
暴飲暴食・食あたり
暴飲暴食や不衛生な食品を摂取すると、胃腸が消化不良を起こしたり食中毒を引き起こしたりして下痢を引き起こします。
薬剤
薬の中には腸の働きを活性化させたり腸内バランスを阻害するなどの副作用を起こすものがあります。使用中の薬が原因と考えられる場合には、薬の中止や変更を検討します。
長期にわたって下痢が続く場合
に疑われる原因
1ヶ月以上の長期間に渡る下痢の場合には、以下のような病気の関与が考えられます。いずれにしても医療機関による専門的な検査や治療が必要となるため、速やかに当クリニックまでご相談ください。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群とは、気質的異常が見られないにもかかわらず様々な症状を引き起こす病気です。過敏性腸症候群になると腸の蠕動運動が活性化して十分な水分吸収が行われずに便が排出されるため、下痢を引き起こします。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
炎症性腸疾患とは、腸粘膜に慢性的な炎症が起きることで腸の働きが低下する病気です。腸機能の低下によって腸内の水分量が増加し、便の水分吸収が十分に行われなくなって下痢を引き起こします。また、腸粘膜の炎症によるダメージや潰瘍形成なども下痢の原因となります。
大腸癌
大腸癌になると腫瘍によって便が大腸内を通過する時間が短くなり、便の水分吸収が十分に行われなくなって下痢を引き起こすことがあります。また、腫瘍によって便の通り道が狭窄を起こすことで、便が腸内に長時間滞留して下痢を誘引することもあります。
大腸以外の病気(慢性膵炎など)
慢性膵炎になるとすい臓の働きが低下することで消化酵素の分泌量が減少し、炭水化物や脂肪を十分に消化吸収できなくなって下痢を引き起こすことがあります。
下痢の検査
大腸カメラ検査
下痢を引き起こす病気には様々なものがあるため、治療するには大腸カメラ検査によって原因を特定する必要があります。当クリニックでは経験豊富な内視鏡専門医・指導医が検査を担当しますので、原因となる病気を特定することが可能です。
なお、大腸カメラ検査をご希望の際は、まず医師の診察を受けていただく必要があります。Webもしくはお電話より診察のご予約をお願いいたします。
腹部超音波検査
下痢の原因が消化管の病気と考えられる場合には、腹部超音波検査を実施して肝臓やすい臓、胆のう、腎臓の状態を詳しく調べます。
血液検査
下痢の原因が胃や腸の異常と考えられる場合には、血液検査を実施します。血液検査では、胃や腸の炎症の有無や程度を調べることができます。
下痢の治療
下痢になると体内の多くの水分を排出するため、長期化すると脱水症状を起こす恐れがあります。そのため、症状が治まるまではこまめな水分補給を行うことが大切です。また、過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎といった大腸の病気が原因の場合には、薬物療法によって大腸の状態を改善することで下痢症状を緩和させることができます。
急性下痢における注意事項
急性下痢になると、短時間で多くの水分量が便とともに排出されて脱水症状を起こす危険があります。そのため、こまめに水分補給を行って脱水を防ぐことが重要です。水分補給は白湯やぬるめの麦茶、スポーツドリンクなどで行うようにし、コーヒーや緑茶、アルコール類はかえって脱水症状を助長するために避けましょう。また、おかゆやスープ、すりおろしリンゴなどで水分補給を行うと、栄養も同時に取れて効果的です。
慢性下痢における注意事項
慢性下痢の場合には、こまめな水分補給を行うことと食事による栄養摂取は欠かさないようにしましょう。ただし、食事ではできるだけ消化に良いものを選ぶようにし、脂分の多いものや刺激物など消化に悪いものは避けるようにしましょう。
消化に良いおすすめの食事としては、おかゆや柔らかいご飯、うどん、納豆、白身魚、里芋、リンゴ、バナナなどが挙げられます。
下痢に関するよくある質問
下痢によって疲労感が表れているのですが、原因は何ですか?
下痢が続くと便とともに水分や栄養、電解質も失われるため、疲労感が現れることがあります。そのため、こまめな水分補給や電解質補給、栄養摂取は欠かさないようにしましょう。
下痢と水様便は同じ症状ですか?
下痢と水様便の主な違いは便に含まれる水分量になります。一般的に下痢は水分を多く含んだ便が1日3回以上出ている状態を指し、その中でも特に水分量が多くほとんど水のような便のことを水様便と言います。
下痢が続いているのに身体そのものが元気なのですが、受診した方が良いですか?
身体そのものは元気なのに下痢が続いている場合には、ストレスや特定の食品に対する過敏症、腸内バランスの乱れ、過敏性腸症候群などが考えられます。気になる場合には一度当クリニックまでご相談ください。
下痢は新型コロナウイルス感染と関係がありますか?
新型コロナウイルス感染症の症状の一つとして、下痢が挙げられます。ただし、新型コロナウイルス感染症の場合は下痢とともに発熱や咳などの風邪症状が現れることが一般的なため、下痢以外の症状が見られない場合には別の病気の可能性もあります。
下痢が続く場合には、市販の下痢止め薬を使用しても良いですか?
市販薬を使用しても特に問題はありませんが、適切な薬の量や種類は患者さんの症状の程度や原因によって異なります。そのため、自己判断で使用するのではなく、医療機関を受診して原因の特定や適切な治療を行うことが望ましいです。
下痢になった場合、おすすめの食べ物はありますか?
一般的に、消化に良くて食物繊維を含まないものが望ましいとされます。具体的には、おかゆや柔らかいご飯、うどん、納豆、白身魚、鶏のささみ、ニンジン、ジャガイモ、里芋、リンゴ、バナナなどが挙げられます。また、食事の時間はゆっくり取り、良く噛んで食べるよう心がけてください。
下痢の時に避けた方が良い食品は何ですか?
消化に悪いものや利尿作用の高いものは避けましょう。具体的には、脂分の多いものや香辛料などの刺激物を多く含むもの、牛乳・チーズといった乳製品、緑茶・コーヒーといったカフェインを多く含むもの、アルコール類などが挙げられます。また、食物繊維を摂取すると腸の働きが活発になって症状の悪化を招く恐れがあるため、豆類や生野菜類、ごぼうなども避けた方が良いでしょう。