過敏性腸症候群(IBS)とは
過敏性腸症候群(IBS)とは、検査で異常が見つからないにもかかわらず腹痛や便秘、下痢などの症状が続く病気です。ストレスによる自律神経の乱れが発症に関与していると考えられており、近年増加傾向にあります。すぐに命の危険を伴うような病気ではないですが、発症すると突然の下痢や長引く便秘などによって生活の質を著しく低下させるため、気になる症状が現れている場合にはできるだけ早い段階で医療機関を受診するようにしましょう。
過敏性腸症候群の症状
以下は、過敏性腸症候群の主な症状となります。以下に示したような症状が長期間続いている場合には、できるだけ早めに当クリニックまでご相談ください。
- 下痢と便秘を交互に繰り返す
- 排便前に腹痛や不快感が生じる
- 排便後は腹痛や不快感が落ち着く
- 排便の頻度が不規則になっている
- 便がコロコロしている
- 排便後に残便感がある
- ストレス、不安、緊張で症状が悪化する
など
以下の症状を併発している場合には、他の重篤な病気の疑いがあります。
- 血便が出る
- 急激に体重が減少している
- 激しい腹痛で眠れない
など
過敏性腸症候群の原因
過敏性腸症候群の原因はまだはっきりとは明らかになってはいませんが、過度なストレスや不安・緊張などの心的要因によって発生するストレスホルモンが発症に関与していると考えられています。これらの心的要因に生活習慣の乱れや他の大腸の病気などの要因が加わることで発症する可能性が示唆されています。
過敏性腸症候群の検査
まずは問診によって症状の内容や程度、発症時期、生活習慣などを詳しくお伺いし、その後は血液検査や尿検査、便潜血検査、大腸カメラ検査などを実施します。過敏性腸症候群は臓器や組織の異常が見られない病気のため、検査では似た症状を起こす他の大腸の病気があるかどうかを調べます。他の病気の可能性が排除された場合には、過敏性腸症候群と診断されます。
また、以下に該当する場合には、大腸カメラ検査によって詳しい状態を調べる必要があります。
- 50歳以上で初めて症状が現れた
- 発熱を伴う
- 3kg以上の急激な体重減少が見られる
- 直腸からの出血が見られる
など
他の大腸の病気との鑑別を行うには、大腸カメラ検査が最も有効です。当クリニックの大腸カメラ検査では経験豊富な日本消化器内視鏡学会専門医・指導医が検査を担当するため、患者さんの負担を軽減しながら高精度な検査が可能です。なお、大腸カメラ検査をご希望の際は、まず医師の診察を受けていただく必要があります。
過敏性腸症候群の治療
過敏性腸症候群の治療では、生活習慣の改善指導や薬物療法、食事療法などを行います。どの治療を重点的に行うべきかどうかは、医師が患者さんの症状の程度や体調、生活習慣などを考慮しながら検討していきます。
生活習慣の改善
過敏性腸症候群は生活習慣の乱れによって引き起こされると考えられているため、治療では生活習慣の改善指導を行います。適度な運動習慣の取り入れや十分な睡眠時間の確保、休息や趣味の時間の確保などを行い、上手にストレスを発散することが予防や改善には大切です。
薬物療法
薬物療法では、患者さんの症状の程度に応じて腹痛を抑える薬や下痢止め薬、腸の働きを促進する薬、腸内環境を整える整腸剤などを使用します。また、自律神経を整える薬や抗不安薬、漢方薬などを使用することもあります。
食事療法
食事習慣は過敏性腸症候群の発症に関与していると考えられています。そのため、過食や偏った食事、刺激物の過剰摂取、食後すぐに横になる、過度な飲酒、過度なコーヒー・炭酸飲料の摂取、水分不足などを避け、1日3食バランスの良い食事習慣を心がけることが大切です。
過敏性腸症候群
に関するよくある質問
過敏性腸症候群はメンタルからくる病気ですか?
過敏性腸症候群の原因には様々な要因が考えられていますが、最も有力なものがストレスや不安、鬱といった心的要因です。実際に欧米の研究では、過敏性腸症候群の患者さんの約半数が何らかの精神疾患を併発しているとも報告されています。そのため、薬物療法で抗不安薬や抗うつ剤などを使用するケースも多く見られます。
薬はどのくらい飲み続ける必要がありますか?
症状の程度や薬の効果は個人差があるため一概には言えませんが、一般的には6ヶ月〜1年ほどは治療を継続するケースが多く見られます。症状が落ち着いたら薬の量を減らしたり、使用の中止を検討することもあります。
過敏性腸症候群から大腸癌になることはありますか?
現時点では過敏性腸症候群から大腸癌の発症といった関連性は報告されていません。ただし、過敏性腸症候群と大腸癌は症状が似ていることや、40歳を超えると大腸癌の発症リスクが高まることから、40歳以上で過敏性腸症候群を発症した場合には定期的に大腸カメラ検査を受けることを推奨しています。大腸カメラ検査をご希望の際は、まず医師の診察を受けていただきます。
過敏性腸症候群とお腹の不調の違いは何ですか?
過敏性腸症候群は、予防できますか?
過敏性腸症候群は生活習慣の乱れによって引き起こされる可能性が高いと考えられています。特にストレスや不安、鬱などの心的要因や過度な飲酒、喫煙は過敏性腸症候群の発症と深く関わっていることが示唆されています。そのため、過敏性腸症候群の予防ではこれらを回避するために生活習慣を適切に管理することが重要です。その他では、消化に良い食事や乳酸菌を多く含んだ食品の摂取なども、過敏性腸症候群の予防には効果的です。
過敏性腸症候群の食べ物でダメなものは何ですか?
一般的に過敏性腸症候群と診断された際に避けた方が良い食事として、高FODMAP食というものが定められています。高FODMAP食とは酵性(Fermentable)、オリゴ糖(Oligosaccharides)、二糖類(Disaccharides)、単糖類(Monosaccharides)、ポリオール(and Polyols)の頭文字を取った用語で、例えば牛乳やはちみつ、小麦、人工甘味料などが代表的な高FODMAP食として挙げられます。
過敏性腸症候群は難病ですか?
過敏性腸症候群は国から難病指定はされていないため、治療の際に国からの治療費助成などを受けることはできません。ただし、過敏性腸症候群の症状は難病指定されている潰瘍性大腸炎やクローン病と似ているため、定期的に大腸カメラ検査を実施してこれらを含んだ他の大腸の病気があるかどうか常に確認することが大切です。大腸カメラ検査をご希望の際は、まず医師の診察を受けていただきます。
過敏性腸症候群による腹痛や